専門家 坂根康裕氏による間取り解説|シティタワー高輪『物件特性を紐解く楽しさ』

物件特性を紐解く楽しさ

文:坂根康裕
画像:(株)PRエージェンシー

 

シティタワー高輪/2LDK・130.00m2

シティタワー高輪の間取り

シティタワー高輪

 

 ありきたりな住宅ではなく、自分なりにこだわった空間に住みたい。いつの時代もそのようなニーズは顕在する。しかしながら、真っ白な紙を渡され、一(いち)から好きに書いてくださいと言われて間取り図を仕上げることができる人はほとんどいないそうだ。優れたマスタープラン(基本計画・基本設計)があってこそ、個のアイデアが生かされる。肝心なのは「それ」を正しく認識することができるか、だ。


 上掲のプランで試してみよう。第一印象で「?(疑問)」を持たれた方は幸先が良い。エントランスから対角線に伸びる廊下がヒント。「Hall(ホール)」と名付けられているように、しっかりと幅を取っている。南に向かって、右がパブリックゾーンで、左がプライベートゾーン。PP分離を意図して生まれたのか。否、それだけではこれほどまでに大胆に通路を置くことはしないだろう。収納や水回りで工夫を施してはいるものの、決して効率的な使い方とは思えないからだ。居室の中は至って一般的ともいえる形をしている。やはり、この廊下(ホール)だけが曲者なのである。


 じつはこの建物、国道1号線に間口広く面した立地で、敷地形状も理想的な整形。ストレスのない敷地配置が可能な超高層マンションプロジェクトであったと推察できる。恵まれた条件を活かし、建物に「荘厳(重々しく立派なさま)」を宿すとされるシンメトリーを採用。多くの人の目に触れるポジションに相応しい意匠を叶えたのである。


 建物の解説が長くなってしまったが、これで廊下(ホール)の意図するところが、おぼろげながらでもイメージしていただけたのではないだろうか。建築家が家具調度品もデザインするように、建物と住空間、家具類までひとつの概念が貫かれていると、それは住む人のスタイル(様式)や個性の一部を担うまでに昇華する。設計者はオーナーに対して「コンセプトにぶれることなく用意しました。ここからどう住まいとして仕上げていくかは貴方次第です」と、まるで問うているかのようである。


 内廊下マンションの角住戸は、廊下が長くなりがちだ。そこで思い切ってど真ん中に大きな軸(廊下)を通した。建物自体の左右対称を室内にまで踏襲したのである。玄関扉を中央に配置。両側にストレージ、直角に左右に分かれていく廊下、その先の壁。寸分違わず対称である。仕方なく生まれた「くの字の壁」の影響も最小限に留める。おかげで、使いやすく、ダイナミックな眺望を思う存分楽しめるリビングダイニングやベッドルームが出来上がった。


リビングダイニングに入る親子扉を開くと、正面に大きなフィックス窓がある。それも真正面に。コーナーサッシュでは、角に立ったときのシーンを想像してほしい。柱をとばしているからこその大きな見晴らしである。マスターベッドルームの設えも至って整然としている。大きなサイズ(11畳超)に収納量たっぷりのウォークインクローゼット。隣り合うパウダールームにはトイレも備え、ダブルボールのレイアウトも面白い。ビューバスの窓は東京湾側に開いている。


 図面の奥に秘める「諸々の条件から生まれた、そのマンション特有の個性」を紐解く。それが自分のこだわりを「感性豊かに」実現するための第一歩になる。そんな発想の仕方を知っていれば、空間づくりはもっと楽しくなるに違いない。

 

 


*イラストは『住み替え、リフォームの参考にしたいマンションの間取り』都心に住む by suumo「間取りの恋して」Vol.1-Vol.43 より転載

 

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