<インタビュー>森ビルがつくる街と住まい|後編〜住まいづくり〜

森ビルがつくる街と住まい2
アークヒルズ、六本木ヒルズ、虎ノ門ヒルズなど、東京の都市づくりを先導してきた森ビル。先日、虎ノ門・麻布台エリアに新プロジェクトを発表し、その注目度はますます高まっています。

今回はその経緯や街づくり、その中の住まいについてのお話を、ロングインタビューでお届けします。都市づくりについて伺った前編はこちら。

Q.ここからは、その街づくりの中での「住まい」について教えてください。

A.池田さん

我々のレジデンスの一番の魅力はヒルズの中にあることだと思っています。

東京の都市の“磁力”を高めていく、都市間競争に勝っていく。それがひいては日本のためになっていくというビジョンのもと街づくりをしていますが、その中でのレジデンスとは、まさに“磁力”のある街を最大限活用する魅力的な暮らしのことだと思っています。

例えば商業施設が近いので、生活するうえでシンプルに便利だという話もありますし、より便利に商業施設を使っていただいたり、特別な体験をしていただくサービスや仕掛けなどをアプローチの一つとして取り組ませていただいています。

あとは、やはり環境ですね。六本木ヒルズも約12haの広さがあって、それがヒルズとして整えられている。ヒルズに住むと管理や清掃はもちろん、季節によってお花の雰囲気が変わったり、展示やイベントなど生活環境全体が整えられています。何が都市にとって魅力的かという観点でトータルに考えられている都市に暮らすことができ、その体験を最大限味わえるのが森ビルの住宅だと考えています

六本木ヒルズレジデンスのエントランス

六本木ヒルズレジデンスのエントランス

六本木ヒルズレジデンスの室内

アークヒルズ 仙石山レジデンスの住戸内

Q.レジデンスの入居者しか味わえないものもあるのでしょうか。

A.池田さん

居住者の方限定のイベントを実施しており、商業テナントさんにご協力いただいて、特別な優待やイベントなどをご提供することもあれば、森ビルが主催するイベントに特別にご招待するものもあります。

我々が提案する東京の暮らし方のひとつとして、「街を我が家の延長にする暮らし」という言葉を使っているのですが、そういった視点で居住者の方に街全体で楽しんでいただきたいと思っています。

また、レジデンスのフロントや設備には必ず森ビルの社員が携わるようになっています。住宅の現場を分離せずに、ブランディングや商品企画とともに同じ本社で管理しています。上下もないですし、意見をし合ったりフィードバックをもらいながら、実際に働いているサービススタッフへの指導を考えられているので、きめ細かなサービスが提供できています。

A.岡田さん

サービスのメニューも様々ですが、ひとつひとつのサービスの質をぜひ体感していただきたいです。

例えばランドリーやハウスキーピングサービスなどにおいては、お客様の好みに合わせて、何をどう扱えばいいといった、一人一人のお客様の状況を把握しながらの対応をしています。言葉で言うとランドリーがあります、ハウスキーピングがあります、居住者専用のレストランがあります、とメニューの羅列になってしまうのですが、サービスの提供の仕方を一人一人に合わせて変えていくというところが、森ビルならではだと考えています。

管理やサービスというと、予め決められたマニュアルやメニューによって対応されがちですが、いかにフレキシブルか、むしろフレキシブル前提でやっていくという姿勢ですね 

森ビルの岡田さん

Q.間取りや設備などは、いかがでしょう?

A.池田さん

つくる街が世界を意識しているように、外国人、日本人を問わずグローバルプレイヤーが快適に生活できる環境をご提供する器として、ふさわしいものを用意しています。我々が住宅を始めた当初から、海外の都心にあるような住宅という発想を強く持っていますが、特に間取りをみるとよくわかっていただけるのではないかと思います。

例えば広さでは、2LDKで100㎡以上の面積のものを作るなど、従来の日本の間取りよりもゆとりを持たせたものになっています。リビングが大きい、というのももちろんありますが、実は大きく差が出てくるのは水回りの部分です。例えば海外の方だとen suit(エン スイート)。3LDKだったら、トイレ・バスはそれぞれ寝室ごとに欲しいよね、という発想を当たり前にお持ちです。今までの我々の物件でも全てが対応できているわけではないのですが、当初からその視点は持っていますし、今後の新しい物件ではより意識しています。

160㎡超の間取り図

160㎡2LDKの間取り。ゆったりしたリビング・ダイニングに加え、主寝室には専用のバスやトイレが用意されている。

Q.眺望などの周辺環境などと合わせてみると、なるほどという間取りも多いですね。

A.池田さん

住戸内だけでなく、隣り合わせるお部屋同士の影響も意識しています。洗濯機が置かれる場所には、隣の住戸の主寝室を近づけない、上下階でも、足音が響くリビングの下に寝室は置かないなど、全てではありませんがしっかりと配慮をしています。さらには、様々な年齢層や家族構成の方がいらっしゃることが街の豊かさ、多様性にもつながるので、同じ2LDKでも5タイプ作るとか、オープンキッチンが良い、アイランドキッチンが良い、など様々な方が好みやライフスタイルに合わせて住んでいただけるように考えて、商品企画をしています。

A.岡田さん

先ほどのサービスの話と同様に、経済効率性を求めれば、同じタイプのものをなるべく多くつくるのがよいはずです。ただ我々は別のアプローチで考えていて、タイプをまずつくってというよりは一個一個のニーズを組み上げていくとどうなっていくのかというところから考えます。結果的には、種類は相当多くなることもあります(笑)。

過去のそういった経験やお客様の声を踏まえながら、一個一個組み上げていくというところが強みですね。

Q.それほどのクオリティのものをつくるには、相当なインプットが必要そうですね。

A.岡田さん

やはり、現場に社員がいて、さらにつくった街で自分たち自身も働いているということに意味があると思います。我々は六本木ヒルズのオフィスにわざわざいなくても、開発の仕事はできるのかもしれません。このオフィススペースはお客様に貸すこともできる場所ですし、別に他の場所にいてもいいわけです。ただ、そうはせずに自分たちもそこで働き、生活して、そこの臨場感を肌で感じて、その中で考えることが各社員に対して要求されるので、それが新しいものにつながっていくのだと思っています。

A.池田さん

森ビルのシンクタンクである森記念財団が毎年行う「世界の都市総合力ランキング」では、2012年より継続して1位はロンドン、2位はニューヨークでした。

やはり都市間競争を見据えて街づくり、住まいづくりをしているので、1位のロンドン、2位のニューヨークの暮らしはどうなのか、どんなレジデンスがいわゆる“磁力”のあるレジデンスなのかなど、海外の物件リサーチはかなりしています。東京のプレゼンスを上げていくという考え方の中で、その中の住宅のあり方や、世界でのトレンド、世界で活躍するグローバルプレイヤーはどういう暮らし方をしたいのか、というところはよく勉強するようにしていますね。

アークヒルズ仙石山レジデンス

アークヒルズ 仙石山レジデンスのエントランスロビー

ヒルズ・スパ

アークヒルズ 仙石山森タワー「ヒルズ・スパ仙石山」内のプール

例えば、ジェットセッター、世界中を飛び回るライフスタイルの方がいらっしゃいますが、セカンドハウスで日本にレジデンスを買うとなった時、ご実家が大きいので日本でも200㎡、300㎡が欲しいのか、と思いますよね。ただ実際はそういうわけでもなくて。ジェットセッターとして飛び回っているけれど自分の安らぐ空間が欲しい。でも管理がしやすくて自分の好きなものを置けるくらいのコンパクトなサイズ感のものでいいんだ、と。そういうものを自分が行く主要都市、東京だったり香港、台北に持っていて、点と点で移動するように住まわれている方も結構いることなど、日々勉強をしています。

Q.今後出てくる「(仮称)虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワー」や「虎ノ門・麻布台プロジェクト」でのレジデンスは、どういうものになるのでしょうか?

A.池田さん

グローバルにはあるが、まだ日本にはない商品企画の視点やサービスのご提供の仕方は、まだまだあるんです。そういったものを、今回のプロジェクトの中にどんどん織り込んでいきたいなと思っています。実際に蓋を開けてみたら、「ああ、ここをチャレンジしたのね」とわかっていただけるのではないかと思っています。

まだ市場にないものに価値をつけるのは、とても難しいです。実際に価値あるものをつくって、世の中に出して、それで初めてやっと価値が認識される。最初に戻りますけれど(前編に記載)、アークヒルズのコーヒーの話であったり、既成概念を取り払ってチャレンジしてくことで都市の可能性を引き上げていくということは、森ビルの変わらぬ姿勢です。今後の森ビルの住宅事業である「(仮称)虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワー」や「虎ノ門・麻布台プロジェクト」などでも具体に取り組んでいきたいですし、まさに計画しています。

A.岡田さん

東京という都市の未来を考えながら、都市にかかわる人、暮らす人とじっくりと向き合って、妥協をせず街を組み立てていく。そういった細かな積み重ねによって、世界を惹き付ける都市をつくり、東京の“磁力”を強めていく。様々なチャレンジを続けながら、より楽しく快適な暮らしをご提供していきたいと思います。