【After2020】東京の住宅購入はオリンピックを待つべきか、今買うべきか|TERASS CEO江口

東京の住宅購入は待つべきか

五輪前に買うか、待つべきか

いよいよはじまった東京五輪イヤー。
この数年で住宅購入を検討される方やメディアからもっとも聞かれた質問といえば

「五輪前に買ったほうがいいのか?終わるのを待ったほうがいいのか?」

でした。
これについては専門家でも意見が分かれているところですが、結論からいうと私は

「住宅ローンを使った物件購入を考えている人は、良質な中古マンションを早めに買うが吉」と考えています。

その背景と、首都圏・東京の不動産マーケットは具体的にどのように動いていくのか。詳しく解説していきます。

前提として、不動産市場とは当然経済市場なので、供給と需要の両側面を考えることが必須です。需要>供給となれば価格は上がり、供給>需要となれば価格は下がります。

 

では、2020年の不動産マーケットで予測される動きを、供給・需要面でそれぞれ見ていきましょう。

供給面

首都圏新築マンションの供給は低水準が続く。

不動産研究所によると、2019年の首都圏における新築マンションの着工量は2018年比較-15.7%の3.17万戸となりました。また、2020年は2019年から微増となる2.2%、すなわち依然として2018年から比べると低水準の着工予測となっています*1

要因としてあがられているのが価格の高騰による販売の長期化。ご存じのとおり、2015年から首都圏の不動産価格は上昇の一途をたどっていますが、日本国民の実質的な賃金が上がっているわけではありません。そうなると当然買える世帯母数が限られてくるため、販売の長期化が起こっているという状況です。

土地の不足・建築費高騰による新築マンションの着工量は2020年以降も低水準が予測されるため、安価な新築マンションが増えることによっておこる、中古マンション相場の連動値下がり、といった動きは起こりにくいと考えられます。

建築費は依然高いままで推移

新築マンションの価格高騰を呼び起こした1つの要因としての建築費高騰。これはオリンピック関連施設の施工に人員が取られ、労働力供給難によるマンション建設費も上昇したと言われています。

ではオリンピックが終わることによってそれが解消されるのかというと、そうではなさそうです。建築費相場を計る建築費指数*2というものがありますが、たしかに2011年以降上昇しており、2019年11月時点では多少高止まり傾向になるものの、下降する傾向にはありません。

2019年末時点では大きなオリンピック関連施設の建設は終了しているのにも関わらずこの状況という背景には、建設市場の慢性的な人材不足という問題があります。特に高齢化が進んでおり、良質な人材を確保するのが難しく、結果として建築費の上昇圧力が働く。この構造はすぐには解消されないでしょう。

供給面まとめ

新築マンションの供給量は低水準。建築費の高騰も解消されないことから、2019年同様の基調が続く可能性が高い

 

需要面

人口変化・金利・オリンピック後の動き・海外不動産投資家の思惑、という観点から見ていきます。

人口

まず人口減が叫ばれている日本における東京の人口の変化ですが、東京都によると東京都区部の人口は2030年まで増加。その後減少は続きますが2045年時点でも2019年代と同水準の人口となっています。*3
もちろん人口構成的に高齢者世帯が増えていくことから、ファミリー向けの住宅需要は減少する方向にあると考えられますが、コンパクトな住宅の需要は引き続き保たれるでしょう。

金利

住宅をキャッシュで買える人は限られ、住宅ローンを利用する人が大半のため、住宅ローン金利は不動産マーケットに大きな影響をもたらします。

2019年は記録的な低金利でしたが、長期国債の利上げもあり、2020年1月の10年固定もの住宅ローンにおいて、三井住友銀行とみずほ銀行、りそな銀行の3行がいずれも0.05%の引き上げを発表しています。*4フラット35も2019年10月から3ヶ月連続での利上げが起こっており、現状がほぼ最低金利、今後は上昇局面に移っていくことが予想されます

景気促進のための金融緩和は今後も続き、急激な引き締めは起こりにくいという前提ですが、現在超低金利状態の住宅ローンを活用することのメリットは大きく、加えて税金が減る住宅ローン控除やすまい給付金と行った国からの後押しも依然続くと考えれれるため、購入を検討している場合は、早めに住宅ローンを組むことが低金利の恩恵をもっとも受けられると考えたほうがいいでしょう。

今後の金利上昇が気になる場合は、固定・変動半分ずつ組むといったリスクヘッジも視野に入れましょう。言わずもがなですが、金利が少しでも上がった場合に家計が厳しくなる、、ようなローンの組み方は危険です

五輪後の景気・不動産の動き

2020年を象徴する東京オリンピックですが、オリンピックが終わるとお祭りムードから一変、どんより景気後退ムードに突入するのでは、、、なのでオリンピックが終わるまで様子を見よう。という方も多くいらっしゃる気がします。

しかしながら、過去4つの夏季オリンピック(アトランタ・シドニー・アテネ・ロンドン)の開催後の不動産価格が急落したことはありません*5むしろ上昇傾向を維持します。

ここから、イメージとして思い浮かぶような「オリンピック疲れ」のようなものは起こりづらいことが予想されます。

不動産価格の変動とは複数の要因が絡まるため、必ずしも同じようにいくとは限りませんが、無意味にオリンピック後の急落を心配することはなさそうです。

海外投資家はいまだ東京不動産マーケットを高評価

需要面で忘れていけないのが海外投資家です。2015年以来不動産価格が高騰してきた日本を今、海外投資家はどのように見ているのでしょうか?

まず東京という都市の評価は、世界の他都市と比較しても非常に高いです。CNBC World Newsが発表している「世界の安定した都市ランキング」では東京はニューヨークに続き第2位にランクインしています。*6
また森記念財団が発表している都市の魅力度をはかる「世界の都市総合力ランキング」でも東京は世界第3位に位置しています。*7

それほど魅力が評価されている東京ですが、実際の価格はどうでしょうか。実は、都市部の住宅価格を世界で比較すると、東京は第17位となっています。1位の香港と比べると3分の1程度の価格です。*8

すなわち、東京は世界的に見て魅力的な都市と評価されているにもかかわらず、まだ不動産価格は割安感がある状態、と考えられています

また、東京五輪以上に海外投資家から注目されているのがIR(統合型リゾート)の日本進出です。まだどこに、どのような形式で開発されるかの正式決定はされていませんが、雇用創出・インフラ整備、またさらなる観光客の増加が起こりうるイベントが日本・東京には控えていることもあり、海外投資家からみても東京は魅力的な都市と言えるでしょう。

需要面まとめ

東京は高い都市力を基盤に、人口の減少も中期的には限定的。また国際的にも注目を浴びていることから、住宅ローン金利が安いうちは購入によるメリットが大きい

 

まとめ

2015年以降不動産価格が上昇局面にあったため、2019年終盤から少し価格上昇の高止まり感がありましたが、相場に調整はつきものです。

供給面・需要面から東京の不動産マーケットを見てきましたが、概ねプラスの材料が揃っている状態であると私は考えています。また、物件としては資産価値が安定しやすい駅チカの中古マンションを住宅ローンをしっかり使って購入する、という判断が吉であると引き続き考えています。資産価値の高いエリアの見極め方については、別記事でも紹介しているのでぜひご参考ください。

しかしながら、決して焦って買うことはせず、しっかり考え、比較検討をした上で購入を進めることが大切なのは、いつの時代でも変わりません。

住宅購入はこれが初めてという方向けに、TERASS渾身のebookも無料で配布しています。基礎からマニアックな情報までぎゅっと詰めた一冊なので、ぜひ読んでいただきたいです。

また、相談できる優秀な不動産エージェントの力を借りることも重要だと考えています。これに関しては、今年の春に新しいサービスをリリース予定です。事前登録を受付中ですので、これから都内で中古購入を検討されている方はぜひご登録お願いします!(こちらもご利用無料です)

2020年、どのような年となるのでしょうか。引き続き、皆様の住宅購入の一助と慣れれば幸いです。

 

文/TERASS 江口亮介

*1:新築マンション供給予測
https://www.fudousankeizai.co.jp/share/mansion/405/ysk2020.pdf
不動産研究所 首都圏・近畿圏マンション市場予測2020年

*2:建築費指数(2011年基準)
https://www.kensetu-bukka.or.jp/business/so-ken/shisu/shisu_kentiku/

*3:東京都の人口推移予測
https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/basic-plan/actionplan-for-2020/data-population.html 東京都政策企画局

*4:住宅ローン金利、大手3行上げ  https://www.jiji.com/jc/article?k=2019123000413&g=eco

*5:オリンピック後の住宅価格
https://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/urgency/report180710.pdf
(資料) 国際決済銀行(BIS)、米国連邦住宅金融庁(FHFA)より、みずほ総合研究所作成。(42P)

*6:Real estate firm names the top cities for risk-seeking investors
https://www.cnbc.com/2019/05/01/real-estate-firms-names-the-top-cities-for-risk-seeking-investors.html

*7:世界の都市総合力ランキング
http://mori-m-foundation.or.jp/ius/gpci/index.shtml

*8:Price Rankings by City of Price per Square Meter to Buy Apartment in City Centre (Buy Apartment Price)
https://www.numbeo.com/cost-of-living/city_price_rankings?itemId=100