税制大綱2020が発表。期限が迫る!住宅購入のおトクな制度

2020年税制大綱期限が迫るおトクな制度アイキャッチ

※追記:2020.1.23「海外不動産への投資による節税ができなくなった」を追記しました

2019年12月12日、2020年度の税制改正大綱が発表されました。
住宅関連においては既存の制度の延長が多いためかあまりニュースにはなっていませんが、2020年以降に家を買おうと思っている方にとっては買い方や初期費用が変わる重大ニュースです。

また、贈与税の非課税枠の最大額は2020年の3月までなど、期限が近づいているものもあります。今年買おうかな…と思っている方はぜひチェックしてみてください。

資料:平成32年度税制改正大綱
https://www.jimin.jp/news/policy/140786.html

今回言及された減税制度

  • 保存・移転・抵当権設定登記などの登録免許税軽減を2年延長
  • 長期優良住宅・低炭素住宅:所有権保存登記について登録免許税減税を2年延長
  • 不動産譲渡契約書及び工事請負契約書に係る印紙税の軽減2年延長
  • 新築や長期優良住宅の固定資産税優遇を2年延長
  • 耐震補修やバリアフリーなどの工事をした住宅の固定資産税の優遇を2年延長
  • 新築の認定長期優良住宅の不動産取得税の優遇を2年延長

以上の通り、購入時の諸費用や固定資産税などの一部の軽減が延長される、という結果となりました。一般の住宅購入者にとってビッグニュースになるような大きな変更はありませんでしたが、あと数年は買いやすい税制が維持されると予想されます。

変更点としては、マンションの建て替えに関する減税や低未利用地の譲渡に関する減税、所有者不明土地の扱いなどのほか、海外不動産への投資での節税ができなくなる内容も含まれています。これについては記事の最後で解説します。

最短は2020年3月!期限が迫る減税制度

住宅ローン控除

住宅ローンを組んで購入すると最大400万円が控除される住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)については変更がなく、現状では以下の昨年決まった期限のままとなっています。

延長される可能性はありますが、とくに昨年加わった新築の控除期間の3年延長については、今年の年末が期限になっています。利用したい方は、今年中に動いておくのもよいでしょう。

  中古の場合 新築の場合
居住開始時期 〜2021年12月 〜2020年12月 〜2021年12月
控除期間 10年間 13年間 10年間
控除率 1%
最大控除額 200万円 400万円+下記A 400万円

A:11年目~13年目は、以下の①②のうちいずれか少ない方の金額

①住宅ローン残高又は住宅の取得対価(上限4,000万円)のうちいずれか少ない方の金額の1%
②建物の取得価格(上限4,000万円)の2%÷3

※長期優良住宅の場合、上限は5000万円

 

贈与税の非課税枠

住宅購入の際に贈与を受けた場合の非課税も、今回変更はありませんでした。

2020年の3月までの契約とそれ以降で最大1500万円と金額が大きく変わるため、贈与を受けることを予定されている方は今のうちに動いておく必要があります。

契約締結日 〜2020年3月 〜2021年3月 〜2021年12月

中古など…個人間で売買した住宅、土地の取得など、消費税が8%もしくはかからない物件

700万円 500万円 300万円

新築など…不動産会社が売主となる中古物件を含む、適用税率10%の物件

2500万円 1000万円 700万円

※一般の住宅の場合。省エネ等の住宅の場合は、上記の上限額にさらに500万円の非課税枠がプラスされます。

After2020の住宅マーケットはまだまだ読めない部分も多いですが、今年から来年まではまだ、税制面での背中押しが続きそうです

海外不動産への投資による節税ができなくなった

2020年の税制改正大綱には、国外中古建物の不動産所得にかかる損益通算等の特例が盛り込まれました。これにより、令和3年以降で国外不動産への投資による損失が発生した場合、損失のうち減価償却費に相当する金額はなかったものとしてみなされます

減価償却費として経費に計上される額は、不動産の取得価格を建物の耐用年数で割った金額です。減価償却費を経費計上して帳簿上の不動産所得を赤字にして本業の給与所得と合算し、所得の金額を圧縮して所得税や住民税といった税金の負担が軽減されます。

富裕層のような高額納税者は、日本よりも建物価格が高額な海外中古不動産に投資し、多額の減価償却費を計上して節税を行ってきました。しかし令和3年以降は、海外不動産での所得で赤字が発生しても減価償却費分は損益通算できなくなり、海外中古不動産を通じた節税ができなくなります

ただし、物件売却時の譲渡所得の計算時における取得費には、なかったものとみなされた減価償却費分は控除されません。つまり赤字分の減価償却費は、物件の売却時に繰延されるイメージとなります。

富裕層が海外不動産で節税する理由

海外不動産は、日本の不動産よりも寿命が長く価値も低下しにくいため、築年数が経過した中古不動産においても建物部分の価値が保たれています。 

一方で物件の所有者が日本に居住している場合、海外不動産の減価償却費を計算するときにおいても、寿命が短い日本の建物をもとにした耐用年数を用いて算出されます。

また、耐用年数が経過した中古不動産を取得した場合、減価償却費の耐用年数は簡便法(耐用年数の20/100)で計算され、新築時と比較して耐用年数が短くなります。

つまり海外不動産に投資すると、高額な建物部分の購入費用を短い耐用年数で割ることができ、多額の減価償却費を経費にでき帳簿上の赤字を作りやすくなります。

加えて海外中古不動産を売却する場合、購入から数年しか経過していないと価値があまり低下せず取得した金額以上の値段での売却も期待できます。そのため、税の繰延とならずに節税の恩恵を受けたまま売り抜けることができたのです。

このような海外不動産を用いた節税スキームは、2016年11月の会計検査院の指摘をきっかけに問題視されていました。そしてとうとう2020年の税制改正大綱で、海外不動産を用いた節税スキームへの対策が明示され、令和3年から実施されることになりました。

海外不動産での節税ができなくなることによる影響

海外不動産を使って節税している富裕層や企業は、増税となる恐れがあります。現在海外不動産を保有している人は、物件をこのまま保有するのか、改正された税制が施行される前に売却するのかを考えなければなりません。

海外不動産に投資する目的については、節税ではなく家賃収入によるインカムゲインや不動産の売買によるキャピタルゲインのような本来の不動産投資をすることを目的に海外不動産投資を行う人が増えるでしょう。